五十肩とは、周囲の炎症が原因で起こる疾患で、正式名称は「肩関節周囲炎」といいます。
その特徴は
- 肩を動かすと痛い
- 肩が上がらない
- 初老期に起こる
その名のとおり、50歳代に起こりやすいもので、だいたい40歳代後半から始まり、50歳代にピークを迎え、60歳代まで症状がみられるようです。発症する割合としては、全人口のうち2~5%だそうですが、比較的身近な疾患だと言えるのではないでしょうか。
五十肩の症状
主な症状としては、肩から腕にかけての痛みや、腕の動きが制限されることです。
痛みは、ある日突然やってくる場合と、じわじわとくる場合とがありますが、統計上では後者のほうが多いようです。また、人により、痛みとともに肩の腫れや熱っぽさを伴うこともあります。
左右の肩同時に発症することは少なく、だいたいはどちらか一方の肩に起こります。但し、左右の肩が時期をずらして発症するケースはあるようです。
五十肩の3つの病期
五十肩の症状は必ず、「急性期」「慢性期」「回復期」と一定の経過をたどって進行します。
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①急性期
- 急 性期(炎症期)とは、関節に起きている炎症と痛みが非常に強い時期をいいます。通常、痛み始めてから短い人で約3~4週間、長い人だと約2ヵ月 間程度で、この時期はとにかく安静が必要です。無理に肩や腕を動かさないようにして、重いものを持つなどの痛みを誘発する運動や作業を中止しましょう。
できるようであれば日中は三角巾で、寝るときにはバストバンドで体に腕を近づけていると楽でしょう。但し、完全に固定したまま動かさずにいると癒着が起こってしまうため、体操療法を行うなど軽く肩を動かすことをおすすめします。 -
②慢性期
- 急性期から1~2ヵ月ほどすると慢性期に移っていきます。 肩の痛みも落ち着いてくるので、急性期のような鋭い痛みは徐々に弱まりますが、肩や腕を動かすと痛みも運動制限もある状態です。
この時期は肩を温めることが大事なので、お風呂でお湯に浸かって温めることをおすすめします。また、この時期に痛みを伴わない程度の運動をしておくことも、肩の動きを改善するために必要だと言えます。 -
③回復期
- 目安としては約3~6ヶ月。痛みや不快感が徐々に落ち着き、肩や腕を動かしやすくなってくる時期です。この時期に肩を動かさないと、癒着したための運動制限が後に残ってしまいます。体に無理のないスポーツや体操を適度に行うといいでしょう。
五十肩チェック ~あなたはいくつあてはまりますか?
- 左右の肩の形が違う
- 肩甲骨がスムーズに動かない
- 肩が重く、だるい感じがする
- 肩を動かすと痛いところがある
- 背中など、以前は届いていたところに手が届かなくなった
- 肩に痛みがあって動かない
- 肩を動かさなくても痛む
- 肩だけでなく、腕も痛む
- 肩の痛みでなかなか眠れない
- 眠っていても肩の痛みで目が覚めてしまう
五十肩の症状は、適切な処置を施すことで、だいたい半年から1年程度で徐々に改善していく疾患です。
しかし、適切な処置をせずそのままにしておくと、肩に運動障害が残ってしまう危険性もありますので、上記のチェック表で3項目以上あてはまるという方は、ぜひお早目に当院までご相談ください。